8月18日に幕が上がった舞台「三婆」。ついに千穐楽を迎えることとなった。全国津々浦々を巡ることはできなかったが、日本本州の北より南までの約1カ月の道中。季節外れの暑さを各地で味わいながら、長いようで終わってみれば、短く感じる旅であった。
千穐楽の地、石川県金沢市は、北國新聞赤羽ホールである。本当に金沢の皆様には、そして当ホールには旅公演でお世話になっております。この「三婆」も楽しんで頂き、カーテンコールでは我々も感動致しました。金沢の皆様、ありがとうございました。またお会いしましょう。
全日程を終えると、一抹の虚無感に襲われてしまうのが「私」の旅である。それは何故か。なんと言ったらいいのだろうか...。日本という国を、ひとつひとつ巡り歩くことで、ご当地の人々の「やさしさ」に都度出会い、己の小ささを感じさせられることをはじめ、ハートを常に揺り動かされ、「人生とはなんぞや」と改めて感じさせられてしまうからではなかろうか。それは俳優として、人間として、この上ない喜びを目の当たりにする瞬間であり、いわば日常からかけ離れた重厚なもの・・・嗚呼、とうとう夢から醒めてしまったと、私はそう思うからである。
最後に。舞台「三婆」を観に来て下さったお客様、本当にありがとうございました。並びに、関係者の皆様、大変お世話になり、ありがとうございました。
そしてなによりも、制作、スタッフの皆様には、無事に旅公演を終えることができました事、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。
また日本全国の皆さまに、御目にかかれますよう、そして、新たなる出会いができますように日々芝居に励んで行きます・・・。
Tag | 2013三婆ツアー
「三婆」 Tour in 富山県南砺市
京都より、290分のバス行程を経て、金沢に入った・・・。
翌日公演地、富山県は南砺市に向かう。「南砺」なんと読むのであろうか。
「ナント」と読むそうな・・・。なんと、まあ。・・・失礼。
井波総合文化センター。こちらも絵に描いた様な、田園地帯である。空は、どこまでも行き届いてゆく青空。それを、ぼんやりと眺めながら、思えばよくここまでキタモンダ・・・。
満席のお客様。幾度となく味わった経験だが、旅も終りに近づくと、改めて舞台で生きている喜びを実感する瞬間である。本当にありがとうございました、ナント。
とにかく、明日ラスト公演。だが、一抹の寂しさを感じるのは、私だけであろうか・・・。
「三婆」 Tour in 京都府綾部市
「三婆」全国ツアーも、いよいよ佳境に入ってきた。さて、京都にやって来た。昨年から京都は、お仕事続きで本当に有難い限りである。こんな事はメッタニアラズ。
今回は南座に非ず、綾部市にて公演。新派の旅公演では、大変お世話になっている、中丹文化会館である。山々を掻い潜って到着。星が綺麗な町なのだ。
京都のお客様は、お芝居の目が肥えている・・・。そんな先入観が私にはある。しかし、舞台が終わってみると、そんな先入観とは裏腹な反応であったのが、とても印象的だ。
むしろハジケテイタ。
いつもいつも、お呼び頂き、ありがとうございます。京都に来られること、楽しみにしているんです。また、お呼び下さい。
これより金沢に向け、290分の大移動。
ラスト 2。
「三婆」 Tour in 横須賀市
「港のYokosuka」 これほど横文字が絵になるところは、そうはない。・・・なにを隠そう、横須賀は私の故郷なのである。朝から晩まで海と戯れ、多くの外国人と交友し、私は育まれた。酸いも甘いも知るだけに、横須賀の舞台に立つことは、うれしさと感激よりも、ちょっとした「照れくさい」思いのほうが先行している・・・。
よこすか芸術劇場。収容約1800人。まるでパリオペラ座を彷彿とさせるその造りは、横須賀が誇る、日本屈指といっても過言ではない近代ホールである。
ほぼ満席というではないか!嬉しいかぎりである。これでもし、スッカラカンであったら、ご当地俳優として、目もあてられない事態になっていた。ホッと致しました。カーテンコールがとても熱かった。
どうもありがとう、横須賀。きっとまた、帰ってきます。
学生時代、このよこすか芸術劇場がまだオープンする直前に、実は、とあるアルバイトで出入りしたことがある。
その当時、自分が俳優を目指そうなどと、毛程も思っていなかった。
人生とはフシギナモノデアル・・・。
「三婆」 Tour in 愛知県知多郡
7月の「東京物語」の小ツアーといい、この「三婆」全国ツアーにおいて、滞在含め幾度名古屋に訪れ、あるいは経由したことか・・・。愛知県当たり年である。
岡山より名古屋下車、チャーターバスにて愛知県は知多郡武豊町へ向かう。
ん、武豊?!タケユタカ?なにやら大変聞き覚えがあるが、この辺にしておきたい。(タケトヨである)
武豊町ゆめたろうプラザに到着。ここで一抹の不安が私を襲う。・・・このブログで再三、目にするフレーズ。辺り一面田圃に囲まれていつつ、大変モダンな劇場の存在は確認できたが、辺りに人が全く見当たらない・・・。
「大丈夫であろうかッ」
もうお分かりであろうと思う。このActor木内宣輝のブログにおいて、この「一抹の不安」フレーズが出た際には、ほぼ好ましい結果に至るのである。ある意味「鉄板」シリーズとなりつつある。
御多分に洩れず、ゆめたろうプラザも大盛況となった。とてもモダンな芝居小屋で、シェイクスピアなどの西洋古典がピタリと、はまりそうで、いつかそのような作品でまた訪れてみたいと、胸が高鳴った。
知多の皆様、ありがとうございました。
舞台袖に、かつての当劇場出演者あるいは、カンパニーのサインが多数書き寄せられていた。とても素敵だ。皆、それぞれが書き残しているメッセージがある。
「劇場スタッフさんが温かかった。」
然りである。
「三婆」 Tour in 高松市
只今、岡山県より瀬戸大橋を横断中・・・。いよいよ四国に入る。目指すは香川県高松市である。全国を旅し、行く先々で、東京にはない魅力を感じとることができる。
そうして好意を寄せてしまう町が、ひとつひとつ増えていくわけだが、ここ高松もその1つである。上品さが何処となく漂いつつ、しかし、それとは相反するような、底知れぬパワーを持っているのではなかろうかと、感じさせるところが魅力だ。
アルファあなぶきホール。お客様のエネルギーを感じる。ほぼ満席、大変楽しんで下さった圧が、じわりと伝わってきた。
高松の皆様、ありがとうございました。
帰路の瀬戸大橋上にて、小島へ沈みゆく、オレンジの夕日に思わず見入る。なんたる幻想的な世界・・・。
この旅公演も、残すところ、あと5公演となった。
「三婆」 Tour in 鹿児島県
桜島噴火中・・・。いよいよ鹿児島へ入った。鹿児島へは、何度も訪れてはいるものの、噴火の最中は初めてである。町中、灰が飛び駈っているのが現状だ。だがこれも、鹿児島にとっては、日常茶飯事なのであろう。鹿児島の時計は、至ってユルギナク回っているのである。
宝山ホール。劇団四季在籍時にも、お世話になった。暫く空けていた家に、帰って来た心もちである。懐かしい・・・。
そして劇団新派公演「三婆」。大きな劇場にもかかわらず、ほぼ満員のお客様に恵まれた。鹿児島の皆様、本当にありがとうございました。またすぐにでもお呼び下さい。
九州最後の夜。終演後、満月の明かりにいざなわれ、私は天文館へと吸い込まれていくのであった・・・。
「三婆」 Tour in 熊本県 Ⅱ
朝もはよから、「ぼした祭り」で叩き起こされた。熊本の祭りは朝から早かねぇ~。
バス行程180分。天草半島へ向かう。自身初上陸である。
有明海の遠浅の神秘、雲仙岳をバス車窓から望みながら、天草半島に入る。その絶景は圧巻!これぞ旅の醍醐味!!日本の宝島、藍より青い海と称される由縁を体感し、会場に到着。
漁港だ。これほど私の胸を揺さぶるものはない。私は海が大好きなのだ。
旅公演では、東京からの本隊スタッフとは別に、現地にてアシスタントでアルバイトさんを雇って、当日の運営に当たる。天草のスタッフさんの人柄の良い事に感動・・・。
天草はほぼ満員。皆さんが、待っていて下さった。お見送りが温かった。ありがとうございました。
夕日百景天草。その全貌は、パンフでしか拝見できなかった。次回はできれば、プライベートで訪れ、その夕日のもと、天草の海の幸で冷たいビールをグビっと呑みたい・・・。
「三婆」 Tour in 熊本県 Ⅰ
「火の国」熊本。やってきたのは、本当に久々だ。熊本城の、シックでその凛とした佇まいを見るにつけ、熊本にいるのだなと、グッと実感が湧いてくる。
そして、夜の町中はなかなかに熱く、皆、バイタリティに溢れている。そんな熊本が、なんとなく私は好きなのである。
宇城市は「ウイングまつばせ」にて公演。
今日は、劇中、色々な事が起こった。消えモノ(劇中で使われる食べ物)に、いつもと違った細工が為され、役者が面食らったり、他のシーンではハプニングが起こったり。続くときには続くもので、また、長くやっていると、こんな日もあるものである。役者は冷や冷やものだが、お客様は、逆に楽しんでくれるものである。
これぞ舞台!生きた芝居というもの。お越し下さったお客様、ありがとうございました。客席がとてもアツかった。
熊本市内は、「ぼした祭り」で盛り上がっている。
とあるお店で、お酒を楽しんでいると、法被を着た若者たちが、太鼓を抱えて入ってきた。
「お店と皆さまの益々のご発展を祈願致します」と、太鼓を盛大に打ち鳴らした。いいものを見させてもらった。これに肖って、千穐楽まで、更に勢いを増して行きたい。
火の国の夜はアツいが、そこには大らかさと、優しさが共存している...。
「三婆」 Tour in 山口県
本州最西端の地、山口県は下関市へやってきた。私は根っからの海育ち。久々に海の町にやってくると、無性に心が和み、母親の母胎へでも戻ったような心もちになるのである。そして、下関は不思議な感覚にさらされる町だ。眼前の海を望めば、すぐそばに、北九州市が広がっているのだから・・・。
山口公演は二か所である。下関市民会館と、長門市は、ルネッサ長門。双方、全く性格の異なる、立地環境と劇場である。前者はコンサートホール、長門はいわゆる芝居小屋である。幕が上がると、同じ県内でありながらも、芝居に対する反応が全く違ったのが印象的であった。特にルネッサ長門では、大変な盛り上がりを頂き、最後はスタンディングオベーションとなるなど、驚かされてしまった。
下関、長門の皆様、ありがとうございました。
旅も後半戦にかかろうとしている。少し芝居慣れしてしまい、疲れも出はじめてくる頃である。だが、こうして新派の舞台を、いや、お芝居を楽しみに待っている人々が、こんなにもいるのだと、改めて感じさせて頂いたことが、とても大きかった。フンドシヲシメナオサネバ・・・。
これより、九州新幹線「さくら」に乗車。熊本を目指す...。