摩訶不思議である。
このような体験を「再三」にわたって体験しているのは、果たして私だけであろうか。
私は電車の中で、読書をよくする部類である。そのほとんどは小説で、ジャンルは多岐にわたるが、最近では時代劇モノと推理モノが同時進行している。
ところで、私が「再三」体験すること...。電車の中で読書をしながら、ある目的地へ向かっているとする。すると、今読んでいるその小説の主人公ないしは登場人物が、私が今まさに向かおうとしている目的地の近辺だったり、駅に出現する描写に「突如」遭遇するのである。これほどタイムリーな事例は、僅かなれど、読んでいるページのシーンに描写された町や駅を、電車で実際に通過して行くなどというのは、数度に及ぶ。
刑事モノでは、事件の展開によって、刑事が様々な地方に飛んでいくシーンが多いものだが、その乗り込み先へ、私が新幹線で向かっている最中であったり、先ほど通過したばかりだなんてこともあるのである。思わずこちらも、刑事になりきってしまう。
とにかく、どの事例も現在進行形で遭遇するのである。その度に、車内で突然、目ン玉をひんむいたり、ニタリとしてしまうものだから、変人とみられても仕方がない。
単なる偶然と片付けられてしまえば、それまでである。が、しかし。つい最近も、これらの事例に近い体験をしたばかりなのである...。