「講談」?こう訊かれてしまうと、おぼろげなイメージがありつつも、その全貌を回答することができない。机に陣取り、ひたすらしゃべっている・・・。そんなイメージが・・・。
落語は「会話」によって成り立つ芸であるのに対し、この講談は「お話」を読む芸であるという(絵のない紙芝居といったところであろうか)。そして、お話を巧みに展開しながら「張り扇」をビシビシ張る。これが講談のいわゆる「芸」であるそうだ(資料参照)。
そんなことを茹だるような暑さの中、うだうだ考えながら「T」大先輩に誘われ、都心にはとてもあり得えない小さなお稲荷様に到着。お参りを済ませ、すぐ横にある入口に通され、古びた昭和情緒溢れる木造階段をミシミシいわせながら、ニ階に上がって行った・・・。するとそこには着物を着た、私よりは若いであろう一人の女性が待っていた。
講談師。私が人生初めてお目にかかる講談の世界のお人である。・・・?ん女性?!
誠に勝手ながら、こちらでは講談師というからには、立派な口髭を貯えた爺さんをイメージしていたではないか。
「ようこそいらっしゃいました」 若先生のご挨拶に、私の講談初見参、少々抱きつつあった戦々恐々たる思いから解放されたものの、いい意味で面食らってしまっている。