「役者は女遊び?・・・貴殿に講談お勧め致します」
いつも、私の出演舞台には必ずといっていいほど、劇場に足を運んで下さる「T」大先輩なる方からの、不謹慎かつ、興味を引くEメールが届いたのは、すでに2カ月も前の6月13日であった。
今私は、舞台 「東京物語」を終え、次回作 「三婆(さんばば)」(作 有吉佐和子、斎藤雅文 演出)の稽古に突入している。今作品、全国ツアーで初日は8月18日、埼玉県は戸田市文化会館。かなりのタイトな稽古スケジュールで、毎日、猛暑強行軍なのである。
「大先輩」Tさんからの度々の「講談ノススメ」Eメールは、こんな事情ですっかりポカしていたのだが、不思議なもので、こんなドタバタした時こそ、思い出すべきことは思いもよらぬが如く、頭を過ぎるものである。確かコウダンノオサソイが・・・という具合に。
かくして、T先輩に参加の旨を改めて伝え、未知の領域「講談」の世界へ足を踏み入れるべく、銀座は「宝稲荷」へ向かうのであった・・・。