本日は公開通し舞台稽古である。いわゆる「ゲネプロ」。本番さながらの稽古ということになる。演出、スタッフサイドと俳優の緊張感は舞台初日なみに高まるのである。そして終了後、客席にて演出家よりの「最後の」ダメ出しという運びとなる。
 
 
 客席ダメ出し。この瞬間ほど芝居に対する自意識というのであろうか、何とも言えない緊張感ではないそれが、私は高まるのである(これは言葉では説明できないし、俳優おのおの感じかたは相違するのではないだろうか?)。
 
 
「東京物語」最後のダメ出し。山田洋次監督から頂くとはなんたる豪華さであろうか。夢見心地である。ダメ出し冒頭で言われた監督の逸話が印象に残った。

「寅さんこと渥美清さんが言っていたんですよね。芝居とは観客と『手を握る』ことだと。つまりお客さんと仲良くする、コミュニケートすることだと。そうすることで芝居が成り立つ、出来上がっていくんだと」
 
 
 この先歩んでいくであろう私の俳優人生において、最もシンプルで最も忘れえない「ダメ出し」いや、「訓示」を頂いた。
 さあ、新派山田組 京都南座「東京物語」 祭りのはじまり、いざ初日でござ~い!