- Breakfast at Tiffany's 11 -
摩天楼まで。
■ NYについて触れる時、結局は1920年代から30年代にかけての狂乱と、大恐慌を背景にしなければならないのだろうという感触を私は持っている。
例えばクライスラー・ビルの完成は1930年。
直後にエンパイヤ・ステート・ビルが完成するが、そのときは1929年の「暗黒の木曜日」以来の未曾有の株価低落は既に始まっている。
■ 第一次大戦後、アメリカは好景気の波に乗る。
JAZZエイジと呼ばれるそれである。
失業者は減ったものの所得の格差は広がり、全体の42パーセントの年収は1000ドルにも満たなかった。ブルッキンズ研究所の報告によれば、トップにいる1パーセントの更に10分の1が、底辺を形成する42パーセントと同じ収入を得ていた。当時のNYには貧民窟に暮らすひとびとが200万人いたとされている。
そして1929年の大恐慌がくる。
この恐慌については、別に何度も書かなければならないものだろう。
30代大統領、クーリッジは得意の名言を吐く。
「人々がどんどん職場から放り出されると失業が生じる」
「この国はうまくいっていない」
市場経済主義者というのは、外から物を言うのが得意であった。