- Breakfast at Tiffany's 7.-
融ける雪のように。
■ と、ここまで書いて、私はすこしうんざりしているようだった。
十二月だからからも知れない。
もっと軽く触れておけばよかった、という気もしないでもない。
東京は銀杏が色づいている。
神宮の辺りには、まだ、日のある時間に近寄ってはいなかった。
外苑西通りの外れ、プラチナ通りと呼ばれるその辺りを広尾方面に下った。趣味のいい名前ではない。午後の日差しは金色であり、銀杏の背が思ったよりも高いことに気がつく。ビルの影になっている樹だけが、まだ緑色のままだったりした。
一本違うだけなのにこうして差がつくのだ。と思いながら、車のガラスは汚れている。
■「こうなったのも、ただ悲しみが原因なんですよ」
と、ブラジル人の外交官、ホセは言う。
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