「桐蔭学園か?それともY校か?」
「法政二高しか考えていません」
今から31年前の夏。横須賀市立馬堀中学野球部キャプテンたる私は、引退が決まったこの日、顧問の先生にこう言い切った。
私の少年時代、高校野球はスターで溢れた「花の80年代」であった。
荒木大輔さん擁する早実、水野さん擁するやまびこ打線池田、大魔神佐々木さん率いる東北、そして何といっても、K.KコンビのPL学園。
そんな中、小学4年時、夏の甲子園の神奈川代表で法政二高が出場したのである。
「HOSEI」
早実、池田、PLのユニフォームを差し置いて、少年の目にはとても斬新なデザインに映り、ひとめぼれしてしまったのである。
2年後、春のセンバツに二高が出場したのを機に、小学6年になったこの少年の憧れは、確信へと変わった。
1988年。少年の憧れはめでたく成就する。そして...
この後、この少年はアリスにも負けるとも劣らない、壮絶でヘンテコリンな世界へ引きずり込まれていくのである。メングライチギョーサン、シマスシタ、シュウゴウ、ブリーフハシロ...。
次号へつづく