この歳にして、新たなる門戸を叩くこととなった。
俳優道とは、常に勉強、一生終わりはない世界である。故に、特別驚くほどのことではないのだが...。
 
 秘かに、二月より日本舞踊を習い始めていたのである。
 尾上流へ入門。尾上墨雪(おのえぼくせつ)先生のもとへ弟子入りしたのであった。
 
 
 ジャズダンス、クラシックバレエをはじめ、ヒップホップからスィング、タップなどあらゆるダンスは経験してきた。ここにきて、母国の踊りに回帰するとは、ある意味新鮮で、また不思議な運命を感じているのである...。
 
 
 「踊りを通して、古来日本人の生活を体験し、勉強してほしい。それは、着物を着て生活をすることである」。・・・墨雪先生よりの最初の言葉である。
 
 
 石の上にも三年。今後の時代劇のお仕事での役において、少しでもリアリティを出せるよう稽古に励んでゆく所存である。そのような気持ちで、今日も稽古を終えてきた次第である。
 
 
 そういえば、五才になる姪っ子がクラシックバレエに励んでいやがる。
 
 叔父として、先に音を上げるわけにはいかない...。