舞台「三婆」全国ツアーが終わって約2か月。年忘れ劇団新派公演として、「新橋演舞場」にて12月1日、東京公演が幕を開ける。実は、すでに最終稽古「総ざらい」を終えている...。いつの間に...。嗚呼、時が過ぎゆくのは早いものである(決して誤魔化してはいない)。
東京公演に向けて、チーム(あるいはカンパニー)が再集結されたのは、遡ること数週間前。再演に伴う稽古場は、懐かしい我が家へ帰ってきた心もちである。
ましてや、前回が旅である。強烈な思い出が先行する分、その心もちたるや倍増である。
稽古初日に、演出家から開口一番、指摘されたことが印象的であった。
「仲が良くなっちゃった」
衝撃的である...。痛い処を衝かれた。旅公演。移動も、宿泊先も皆で一緒。知らず知らずに、団結というものが、強くなってしまうものである。それが、作品の細かい部分に出てきてしまう。この奥深いダメ出しをテーマに、新キャスト笹野高史さんと、子役さんを巻き込んで、ひそかに船出をしていたのであった。
そして本日、ゲネプロを迎えた。改めて痛感させられることは、再演でも、やはり別物に仕上がる。必ず一歩でも、進化するということだ。舞台とは、やはり生き物なのである。
人間たるもの、常に戦いである。出来上がった作品を、敢えて、壊さなければならない時がある(全壊までしなくとも)。それを乗り越えてゆくには、マンパワーをフルに発揮させる以外にない。それは、とても苦しいことであろうが、乗り越えた先に達成感が待っている。それが、作品創出であり、「仕事」ではなかろうか。
今しがたゲネプロを終え、このブログを書いている。いつの間にか明日、初日を迎えさせて頂く。演者として楽しみであるし、多くのお客様に、年納めに大いに笑って頂きたい。