塩だ。
 
 
 
■ いつだったか「シンデレラ・リバティー」という映画をみた。
 今からもう40年も前、1974年の作品である。
 ゴッド・ファーザーで好演したジェームス・カーンが、うら寂しい水兵の役を演じている。
 結婚もせず子どもも作らず、水兵のままでいい歳になってしまった男。
 他に行き場がなかった男。
 物語は、場末の酒場を稼ぎ場とする子持ちの娼婦と、帰港した水兵との交情を描いたものだが、どちらかと言えば、連れ子の混血少年との関係が主軸になっていた。
 擬似的な親子。父と息子との関係はいわく言いがたいものがあって、少年が11歳という設定が微妙なところだった。
 これが9歳でも16歳でもまた違った付き合いになっていただろう。
 可愛らしい顔の子役を使っていないところがちょっと苦い。
 魚釣りをしたり自転車で一緒に走ったり。男、水兵は擬似的な親父の役柄に次第に没頭していく。
 母親のことをひとりの女として眺めようと努力したり。背伸びをしていても、少年は少年である。


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