ジトジトと、ホテルの部屋の窓を雨が鈍く叩く音で、朝、目が覚めた。東京に居座っている者としては、久しくなかったことである。なにしろ今夏の東京の降雨といったら、ほぼ、ゲリラ夕立ちばかりであるのだから。


 いや、待て。思い起こせば二年前、劇団新派公演「ふるあめりかに袖はぬらさじ」にて、会津若松市に赴いた際にも、朝から大雨であったことを、ふと思い出した。もしや、アメノアイヅワカマツになるのであろうかこの先も・・・。


 會津風雅堂。収容人数約1700強、市のシンボル鶴ヶ城に隣接する多目的大ホールである。その名の通り、お城の天守閣の様な外観で、とても素敵なのである。


 なにはともあれ、またこうして公演に呼んで頂けるというのは、誠にありがたいことである。1,2年後、あるいは10年後になろうと、かつて演じさせて頂いた舞台に帰ってこられるというのは、俳優として生かせて頂いているのだと、私にとっては切に思わされる瞬間なのである。
 會津風雅堂にお越し下さいました皆様、本当にありがとうございました。


 ホールをあとにする頃、雨が上がっていた。そして日の入り前に微かな晴れ間が・・・。
 アメノチハレのアイヅワカマツ。。