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月の河 | Newsletter No.005

 
    - Breakfast at Tiffany's 9 -
     月の河。
 
 
 
■ 美人は10年しかもたない。
 ということを誰かが書いていた。
 エリオットの詩集でもめくろうかという気にもなる。
 
 
 
■ オードリー・ヘプバーンは1993年1月20日午後7時、癌のために亡くなった。
 晩年はユニセフの国際親善大使として、アフリカ奥地で精力的に活動し、その名声を第三世界の飢餓の救済、その広報活動に費やした。
 とは言っても、いわゆる南北問題を社会・政治的な立場から語った訳ではない。
 存命の頃の映画雑誌などを見ると、オードリーは貴族の血を引いていることが強調されている。「ローマの休日」で一躍世界にデビューした彼女には、そういう物語が必要だったのかも知れない。

冬の結婚式 | Newsletter No.005

 
    - Breakfast at Tiffany's 10 -
     冬の結婚式。
 
 
 
■ このところ会合が続き、薄い疲れが溜まっている。
 先週までまだ青かったこちら側にある銀杏が急に色づき、もうじきばらばらとその実を落とす音が響くだろう。隣接したところにある教会で、今日も誰かが挙式をあげていた。
 さてNYはといえば、随分寒くなっているに違いない。
 
 
■ 「ティファニーで朝食を」の原作の中で、カポーティはヘミングウェイの名前を出していた。
 いわゆる第一次大戦後の「ロスト・ジェネレーション」を意識し、ある面ではそれを継承しているともいえるが、元々映画化のための作品でもあったから、半分はからかっているようなところもある。
 文学史では有名な話だが「失われた世代」という呼び方は、ガートルード・スタインという女性が命名したことになっている。
 彼女は広い意味でのパトロンヌで、パリに遊ぶ作家達のサロンの中心・女王的存在であった。
「You are all a lost generation.」
 パリにいたヘミングウェイ達に向かって「あなたたちはみんな、失われた世代なのよ」と言ったことになっていて「陽はまた昇る」(1926)の序文にはそう記載されている。