そこにいるだけのあいだ。
 
 
 
■ データのベリファイをしながら漠然としている。
 夜になって所要があったのだが、出かけるのは無理のようだった。
 建築中の高層マンションのクレーンの先端が、赤く点滅している。
 背後に雲があった。みるみる空は黒くなる。
 
 
 
■ このコピーは「甘く苦い島」のひとつのジャンルである。
 通勤途中のNYの街角に立ち、ビルの横に背中をつけて通行人を撮った。
 唇のセクシーなスペイン系の女性がフレームに入って、なるほどとシャッターを押した。
 入っていたフィルムがポジではなかったので、色が出ていない。
 モノクロに変換し、すこし色を被せ、作品とする。
 
 
 
■ 画像を眺めていると、様々なことが浮かぶ。
 それは半ば深夜の妄想のようなものなのだが、彼女が来年、同じ仕事場に通っているとは限らない。
 交差点を急ぎ足で渡ってゆく。
 


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