- Breakfast at Tiffany's 10 -
     冬の結婚式。
 
 
 
■ このところ会合が続き、薄い疲れが溜まっている。
 先週までまだ青かったこちら側にある銀杏が急に色づき、もうじきばらばらとその実を落とす音が響くだろう。隣接したところにある教会で、今日も誰かが挙式をあげていた。
 さてNYはといえば、随分寒くなっているに違いない。
 
 
■ 「ティファニーで朝食を」の原作の中で、カポーティはヘミングウェイの名前を出していた。
 いわゆる第一次大戦後の「ロスト・ジェネレーション」を意識し、ある面ではそれを継承しているともいえるが、元々映画化のための作品でもあったから、半分はからかっているようなところもある。
 文学史では有名な話だが「失われた世代」という呼び方は、ガートルード・スタインという女性が命名したことになっている。
 彼女は広い意味でのパトロンヌで、パリに遊ぶ作家達のサロンの中心・女王的存在であった。
「You are all a lost generation.」
 パリにいたヘミングウェイ達に向かって「あなたたちはみんな、失われた世代なのよ」と言ったことになっていて「陽はまた昇る」(1926)の序文にはそう記載されている。


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