- Breakfast at Tiffany's 5.-
     野生の馬。
 
 
 
 
■ 冬になると、ストーンズが聴きたくなる。
 新しいものではなく、いくつかのバラードの入ったそれで、低く流しながら表参道の交差点手前で信号を待っている。街はクリスマスの飾り付けで赤く、そして青い。
「WILD HORSES」という曲があり、イントロだけで十分な気がしていた。
 ストーンズの場合、イントロがほぼ全てというところもある。
 
 
 
■「ティファニーで朝食を」でよく引かれるのが、「決して野生の動物をかわいがってはいけないわ」という台詞である。
 新潮文庫版の背表紙にはこんな風に書いてある。
 
「名刺の住所は『旅行中』、かわいがっている捨て猫には名前をつけず、ハリウッドやニューヨークが与えるシンデレラの幸福をいともあっさりと拒絶して、ただ自由に野鳥のように飛翔する女ホリー・ゴライトリー。原始の自由性を求める表題作(略)」
(1968年版:54刷より)
 
 映画の影響か、女性読者を意識した紹介文である。
 ホリーを高級コールガールとは決して呼ばず、「プレイガール」などと記している映画案内なども多い。訳者の龍口氏も解説の中でわざわざ一節をそうしたホリーへの評価について割いていた。


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