Information

 
 
■ 高画質の New York フォト・デザイン・ポスター をお届けします。
はがき/A4サイズ. 300dpi / 画質12(最高画質) / AdobeRGB.
お手持ちのプリンターから、印刷物に近い品質でプリントすることができます。
ご自宅に飾られたり Post Card として友人に送られたり、楽しみ方はさまざまです。
 
ご利用方法
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While I'm Only There | 甘く苦い島 | Newsletter No.014

 
    そこにいるだけのあいだ。
 
 
 
■ データのベリファイをしながら漠然としている。
 夜になって所要があったのだが、出かけるのは無理のようだった。
 建築中の高層マンションのクレーンの先端が、赤く点滅している。
 背後に雲があった。みるみる空は黒くなる。
 
 
 
■ このコピーは「甘く苦い島」のひとつのジャンルである。
 通勤途中のNYの街角に立ち、ビルの横に背中をつけて通行人を撮った。
 唇のセクシーなスペイン系の女性がフレームに入って、なるほどとシャッターを押した。
 入っていたフィルムがポジではなかったので、色が出ていない。
 モノクロに変換し、すこし色を被せ、作品とする。
 
 
 
■ 画像を眺めていると、様々なことが浮かぶ。
 それは半ば深夜の妄想のようなものなのだが、彼女が来年、同じ仕事場に通っているとは限らない。
 交差点を急ぎ足で渡ってゆく。
 

Travelin' Light | 甘く苦い島 | Newsletter No.013

 
    Travelin' Light.
 
 
 
■ しばらく東京を離れていた。
 また出かけねばならないのだが、どこにいても回線が繋がっている限り昼間の厄介は追ってくる。
 特定の回線を使わねば保守できないものなどはスタッフに頼み、数日したらまたここを離れねばならない。
 旅といえば旅だし、仮住まいといえばそのようでもある。
 
 
 
■ あるとき、平野の夕暮れである。
 向こう側に大きな月があらわれてそれが次第に昇ってくる。
 私は小型の車を運転しながら、なにか別のことを考えていた。
 それが何なのか、曖昧な形になろうとしたのは羽田から電車に乗って最寄のターミナルに着き、煙草が吸えるカフェに腰を下して辺りを見渡してからのことである。
 確かこの辺りには打合せに通った会社があった。誰かと待ち合わせたのはこの先の店だし、坂を昇ったところにあるホテルに泊まってそれから別れた。
 流行っていた曲は、などということは思い浮かばず、その頃、女性は今よりも煩雑にスカートを履いていた。
 

夏服を着た女たち | Newsletter No.012

 
    夏服を着た女たち。
 
 
 
■ アーウィン・ショーという作家のことは、常盤新平さんの訳ではじめて知った。
 確か「夏服を着た女たち」だったと思う。
 初期の頃の短編は、当時のニューヨークの空気を見事に切り取っていて、ある意味で都会的、洒脱な感じがしたものだ。
 多分、都会というものにまだ憧れがあったからだろう。
 たまたま手にとって読み返してみたりもするのだが、路地裏にきらりと光っている硬質なガラスの欠片のような気配は、後の作品ではすぐに消えていた。
 ヘミングウェイなどの別バージョンであるかのように見える瞬間もある。